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眠くない:高梨謙吾 × エリー(エレオノーラ):櫻井みゆき 対談

Q1. まずは本作の印象からお聞かせください。原作や台本を初めて読まれたとき、どのような作品だと感じられましたか。

高梨

原作の印象は、とにかく優しい世界観だなと感じました。絵がすごく優しいタッチで、背景も随所でしっかり描き込まれていて、国ごとに印象もガラッと変わっていて。それぞれの国の特色の違いも含めて、描かれている世界が本当に緻密に準備されている印象があります。

だからこそ、絵の中やキャラクターの表情、やりとりからそこに息づいている人々の営みがすごく感じられたんですよね。

櫻井

私はオーディションで初めて読ませていただいたんですけど、「夜の長い国編」だけで言うと、まだ謎が少ししか出てきていない部分もあって「どういうお話なんだろう? え、気になる!」という感じでした(笑)。

恋愛のお話ではあるんですけど、「恋愛」という言葉に収まっていない気がして。恋愛のお話とだけ言ってしまうと、この作品に対してはちょっと言葉が軽い気がしてしまうというか。いろんな側面、いろんな方向からの思いがあるので、少女漫画ではあるけれど、そこに収まっていないなというのをすごく感じましたね。

Q2. アニメ本編をご覧になっていかがでしたか。

高梨

原作から感じたことがベースになりつつも、すごく立体的になって、より分かりやすくなっていました。そこにある世界や人々を、心の底から信じられるというか。アニメーションや作品に触れていくなかで、どんどん没入していく、キャラクターを好きになっていく感覚ってあると思うんですけど、まさにそういう感覚になれたなと。

本当に緻密に描いていただいて、キャスト・スタッフみんなが一丸となって、原作を愛しながらアニメを作られたことが至る所から伝わりました。

櫻井

いろいろと補足されていて「あ、こういう意味だったんだ!」「このシーン、そういうこと!?」というものがたくさんあって、こちらも解釈がしやすい、演じるうえで理解がしやすいようになっていて。それでいて原作のセリフは余すことなくそのまま使っていただけているので、これは原作ファンの方も嬉しいだろうなと思いました。あと、アニメを見て思ったのが、演じているときよりも眠くないはエリーのことをずっと見ているなって(笑)。ずっと見ているから「すごい!」と思って。収録のときここまでだったっけ? と思いながら第1話を視聴しました。

Q3. アフレコを通して感じた、お互いが演じるキャラクターの印象を教えてください。

高梨

櫻井さんの声の感じも含めて、少女らしさ、まだ大人になりきっていない部分を感じました。周りからゴリラとか言われたりする、ガチャガチャした部分もありつつ、ある種、大人になっていく階段をいままさに上っている段階の、その瞬間にしかないであろう瑞々しさというか。洗練され尽くしていない感じが、いまのエレオノーラなんだなと感じました。

櫻井

眠くないは、めっちゃお兄ちゃん(笑)。あと、思っていた以上に表情豊かというか、エリーに対するときは、穏やかな目で見ているときもあれば、結構子どもっぽく言い返してくるときもあって。他の兄弟に対するときはやっぱりちゃんとお兄ちゃんなんですけど、兄弟愛が強すぎて「うわー!」と感情をあらわにする部分もある。「あ、こんな一面があったんだ」と、漫画で読むより演じているときに思いましたね。

Q4. ご自身が演じられるキャラクターについて、演じていくなかで見えてきた魅力を教えてください。役作りで意識されている点があれば、あわせてお聞かせください。

高梨

他のキャラクターの声を聞きながらやれるということが、ものすごく影響していると思うんですけど、アフレコをやってみて「勝手に引き出されていってるな」という感覚があって、エリーに対しては子どもっぽい部分とか、時には兄弟たちのことを想って「お兄ちゃんでいなきゃ」という部分だったり(笑)。大人の人たちとの立ち振る舞いだったり。そうやってコロコロ表情が変わっていくなかで、振り返ってみると自分の出している声も結構幅がありました。そこは新たな発見というか、意外性のあったところの一つでしたね。

普段キャラクターを演じるときは、一番最初のオーディションの段階で自分がやっていた感覚を結構大事にしたいというか、いったんそこを目指して、そこから物語のなかでどう幅を作っていくか、というプロデュースを考えていくんですけど。今回は特に、そこにあまり執着しなかったというか。「流れのなかでありのままいればいいや」という部分が大きくて(笑)。それも明確なきっかけがあってですね。

櫻井

へー!

高梨

一つは、櫻井さんの声を聞いたとき。本当にそこにエリーがいたんですよね。初めて聞いた時を明確に覚えているんですけど、背中越しだったんですよ。「あ、これだ」と思って。「じゃあ俺もこれでいこう」と。あとは3話で、ヨアンから「お前は本当に人に興味を持たないやつだな」と言われたり、旅の道中で説教くさいことを言っていたり(笑)。その辺がすごく自分にリンクして。こんなに共感できるキャラクターはいないなって。

逆に手放していられるというか。ありのまま、用意されたセリフ、相手、やりとりの流れや状況があれば、勝手に眠くないになりそうだなと思って、そのなかで引き出されたのがこの眠くないだったという感じですかね。

Q5. 第3話の最後、眠くないが出国するシーンで「やっぱり行きたくないよ」というセリフがありました。原作にはないセリフですが、あれはアドリブだったんですか?

高梨

そうです(笑)。完全にその瞬間に生まれた言葉ではないんですけど、自分で準備していくなかで「ここ、『うわー』で終わらせるのはもったいないな」と、もう一言足したくなってしまった部分があって。その後の画の変化や流れも加味しながら、ああいう言葉を足してみたんです。「いらないよ」と言われたら全然カットするつもりではいたんですけど、オッケーをいただいたのでそのまま、という感じでやらせていただきました。

――すごく印象的で、いいシーンでした。全国の長女・長男はきっと共感するんじゃないかなと思いながら見ておりました。

高梨

ありがとうございます。でも実は僕は、次男なんですよ(笑)。これまでのいろんな環境で獲得してきた感覚や価値観が自分に根付いているから、どちらの視点も納得できる。

櫻井

エリーの印象はとにかく素直というか、誰に対しても態度が変わらない、いい意味で変えられない子なんだなというのが、すごく好きになれる部分でもありました。それでいて、どこかで眠くないのことは特別に思っているんだなと。兄弟のような幼なじみではあるけれど、眠くないはどこか一つ特別、という部分を感じて。演じるうえでも、読んでいるときよりも強くそれを意識しながらやっていました。

役作りについては、たぶん高梨さんと結構同じで。エリーに対して「演じちゃったらできないな」と思ったんです。エリーってすごく自然体な子だから、演じてしまったらエリーから遠ざかってしまうかもしれない、とにかく一回やってみようと思って、1話の収録をやって。「あ、これがオッケーなんだったら、私はもうこれで行こう!」という(笑)。本当に同じ感じなんですよね(笑)。

高梨

ははは(笑)。

櫻井

だから素直に感じて、相手のセリフや表情を踏まえて言葉をちゃんと出したいなと思って。視点としても、この世界の謎をまだ知らないという点で、視聴者に近いなと思っていて、一番振り回されるキャラクターでもあるし、謎にドキドキさせられることもあるし。視聴者に一番近い存在だからこそ、素直に感じて、作ってしまわないようにと思って演じていたので、結構、考えているようで考えていないというか。エリーの思考回路としては考えているんですけど、客観的に考えすぎてしまうとエリーじゃなくなってしまうなと思いながら。その塩梅を大切にして「あ、ここから先はもう考えないぞ!」みたいな感じでアフレコに臨んでいました。

私もまだ役者としてそんなにいろいろやらせていただいているわけではないんですけど、エリーが一番やりやすかったなと思っていて。

高梨

へー!

櫻井

こんなにありのままでいいキャラクターに出会うことがあるのか、と思って(笑)。本当にそのまま喋っているんです。ただエリーなだけ、というか……いわゆる「声の色」のような部分もあまり意識していないので、かなりそのまま投げて、キャッチしてもらうみたいな(笑)。

高梨

お互いにそんな感覚だったんだ(笑)。

櫻井

そうなんです(笑)。周りの方に任せよう、という気持ちも大きくて。結構自由にやらせていただいたなと思いますね。

――ちなみに以前、櫻井さんの台本がすごい、というお話がありましたよね(笑)。

高梨

いろんなことが細かく書かれていたり。セリフ一つとっても、この言葉の裏にはこういう感情がある、こんな感覚だ、というのを言語化して書かれていたり……という感じでしたよね。

櫻井

そうですね。でも、エリーは書いていないほうなんですよ。

高梨

でも、そうやって言語化しておくことで、実際にその言葉は喋らないにしろ、セリフを喋ろうとしたときに勝手にその意識が乗るというか、定まりやすくなる感じにはなりますよね。

櫻井

読んでいるときに、やっぱり思っていることって言葉通りじゃないじゃないですか(笑)。だから、その思っていることを一回書き出さないと分からなくなってしまうタイプで。書くことでインプットされるタイプなので、「こう言いながら、こう思っている」みたいなことを書くんです。でも実際にやるときは、そんなに見てはいないんですけど(笑)。事前に気持ちを作るうえでの、インプットするための書き込みみたいな感じなんですよね。

高梨

この作品は、本当に言外の言葉、言外の感情がすごく多いなと思いますよね。恋愛が主体というところもあって。

櫻井

特にこの二人は言葉足らずなところがあって、素直に言えていない部分ができてしまっているので。その裏の言葉はずいぶん多かったなと思いますね。

高梨

確かに。

▼櫻井さんの実際の第5話台本(青字でビッシリとメモ書きがされている。)

Q6. 第5話ではエリーの眠くないに対する気持ちの変化が描かれ、二人のぎこちない、絶妙な距離感にとてもドキドキしました。演じるうえで意識された点があれば教えてください。

高梨

5話のエリーが、もうめちゃくちゃ可愛いんですよ。ここでたぶん初めてビジュアルの変化があると思うんです。自分で事前に準備していた段階でも「うわ、このエリーはたまらんな」と思って(笑)。

実際にマイク前に立って、これから声を走らせていくという状況に集中していくなかでも、その大きな変化は敏感にキャッチできるような感覚で集中していました。あとはまあ、流れのまま。ぎこちなくなったりだとか(笑)。その後のエリーの反応とか(笑)。「思っていたのと違うぞ」みたいな。ちょっと勇気を出して言ってみたのに「あれ?」みたいなことも、「うわー、あるある」と第三者としては思いました(笑)。

櫻井

本当に「恋愛してるなー! 爆発してるなー!」という感じがあって、すごく良かったですよね、あのシーン。「あ、その言葉拾うんだ」「そこで不機嫌になるんだ」みたいな部分が、可愛いなと思って、だんだんとギャップというか、眠くないに見せる顔が見えてきて、ここが一回感情がバーンと表れるところだなと思いました。

ぎくしゃくしているところは、私のなかではエリーが眠くないの気持ちをまだ分かり切れていないんじゃないかなと思っていて、1人になって、冷静になって考えて、「眠くないも同じ気持ちなのかも」とどこかで感じているのかな、というのはちょっと思っています。二人の関係値が旅のなかで少しずつ変化していくということが起き始めて、その一歩として、ものすごくいいシーンになっていたんじゃないかなと思っております。

Q7. これから「夜の長い国編」が展開されていきますが、見どころと、注目してほしいキャラクターを教えてください。

高梨

まずシンプルに「夜の長い国」という国の雰囲気を観ていただきたいですね。マロニエ王国にいた頃とはガラッと変わった雰囲気で、音楽も含めてだいぶ変わっていくと思います。夜が長いだけに、暗さや寒さの雰囲気というか…肌に冷たさが刺さるような感覚が映像のなかにも表れていくんじゃないかなと思います。

いろんな国の特色を肌で感じて、一緒に旅をしているかのごとく、視聴者の方にも物語を楽しんでいただきたいです。

あとは二人の関係性もそうですし、夜の長い国の人たちも眠くないたちが来たことによって大きな変化を迎えていくことになります。いろんな人たちの揺れ動きや、やりとりの変化、その辺も含めて、「夜の長い国編」の行方を注目して見ていっていただければと思っております。

注目してほしいキャラクターは……僕、ミカ隊長が好きなんですよ(笑)。

櫻井

分かります(笑)。

高梨

めちゃめちゃカッコいいんですよね!

櫻井

カッコいい!

高梨

締めるところはしっかり締めますし、騎士然としていて。エリーや騎士長たちを立てたり、政治的な立ち回りもちゃんと弁えている。もちろん立場的にそうではあるんですけど、やっぱり向こうの筆頭であるというポジション。それでいて、お酒を飲んだときのゆるさとか(笑)。

櫻井

ひょうきんですよね、本当に(笑)。

高梨

天文学に対しての知識のなさとか(笑)。その辺もすごく愛らしいキャラクターで、ギャップがすごいですよね。

櫻井

カッコいい。

高梨

個人的にはミカ隊長はめちゃめちゃカッコいいので、注目していただければなと思っております。

櫻井

今後出てくる部分なのであまり言えないんですけど、色が結構大事になってくる部分があって、色彩感も細かく感じ取っていただけたら嬉しいです。

夜の長い国の方々は、どちらかというと寒さや暗さを表現する側というか、その世界観を表現してくださる側で、こちらがゾクッとさせられるようなお芝居があったり、大きな問題に向かっていっているんだなというのを、音楽や色彩感、お芝居だったりから、たくさん感じていただけたらなと思います。

注目してほしいキャラクターは、カステヘルミですね(笑)。第8話で大好きなシーンがあります。(笑)

高梨

へー!

櫻井

注目していただきたいですね。原作でも大好きでしたし、アニメになってより好きなシーンになりました。カステヘルミは、まだヨアンとのところなどで可愛らしい部分がよく見えていますけど、この後の活躍をぜひ見てほしいですね。

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